『十字架に付けられたパウロ三木の説教』
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ここにおいでになる全ての人々よ、私の言うことをお聴き下さい。私はルソンの者ではなく、れっきとして日本人であってイエズス会のイルマンである。私は何の 罪も犯さなかったが、ただ我が主イエス・キリストの教えを説いたから死ぬのである。私はこの理由で死ぬことを喜び、これは神が私に授け給うた大いなる御恵 だと思う。今、この時を前にして貴方達を欺こうとは思わないので、人間の救いのためにキリシタンの道以外に他はないと断言し、説明する。キリシタンの教え が敵及び自分に害を加えた人々を赦すように教えている故、私は国王(秀吉)とこの私の死刑に拘わった全ての人々を赦す。王に対して憎しみはなく、むしろ彼 と全ての日本人がキリスト信者になることを切望する。

写真、聖パウロ三 木、沢田政広作、木彫、1962年, 記念館常設 (フ ロイス、『殉教記 録』、145頁)