朝鮮半島出兵によって秀吉は九州キリシタンを消滅させる計画について |
Carta del P. Al. Valignano, al P. General Claudio Aquaviva, Nagasaki el 13 de marzo de 1592 (原文はスペイン語、ローマイエズス会文書館、Jap.Sin. 11 II 288). [Hideyoshi] Quambacu ndono está del todo determinado de hazer la impresa de la China, y por esso manda agora passar grande número de gente a Coray, para despues della sugetada passar a China. Y está el negocio tan a pique que entre un mez se ha él de partir do meaco, para venir a estas partes do Ximo, en un puerto llamado Nangoya, que está doze leguas de Firando, aonde manda venir todos los yacatas y señores de Japón con sus embarcaciones y gente para los despachar para Coray, con determinación de quedarse él este año aqui, según diz, hasta ver lo que se haze en Coray, y después de Coray tomada passar él en persona para la China. Y como en esta empresa han de ir juntamente con los otros todos los señores cristianos sin quedar ninguno, con toda su gente de guerra, si esta passaje se effectuar, queda toda la cristiandad desbaratada y destruida. Porque se entiende claramente que su determinación no tanto es passar a Coray y a la China como echar de Japón todos los señores dél con su gente para que muertos o vivos queden en Coray, y él quedar señor absoluto y hazer lo que quiziere de sus estados. Es tan grande el imperio y mando que tiene sobre todos, y tan universal el terror y temor que a este hombre tienen, por el gran poder y esfuerço que en él ha, que no ay ningún señor que se atreva de ser el primero a dezir que no puede ir. Y el concertarse muchos entre sí para le resistir no es de menor dificultad, porque él, de su propia boca, publicó una ley, que a todo hombre que contrariasse o le propusiesse alguna difficultad en esta ida de Corai y de la China, lo destruiría y mataría. Y por esto no ay ninguno que se atreva a hazerle ni proponerle ninguna difficultad, mas todos se están con gran priessa apercebiendo para esta passage, haziendo grande número de embarcaciones y proveyéndosse de armas y municiones de guerra. De Nangassaqi, 13 de Março de 1592. De V.P. figlio inutile nel Signore. Alexandro Valignano |
上文翻訳「『史学』第五十二巻第一号(1982 年)、31−2頁、柳田利夫の翻訳による」 アクアヴィーヴァ総長宛、長崎より1592年3月13日付、ヴァリニャーノ書簡、(原文は上文のスペイン 語、ローマイエズス会文書館、Jap.Sin. 11 II 288). 〔Jap.Sin. 11,11, 288〕「もしこの侵攻が実施されると、全キリスト教界はめちゃめちゃに破壊されてしまう。というのは、彼の決意は朝鮮や中国に渡ることより、むしろ全領 主をその家臣とともに日本から追い払うことにあり、これは全領主が生死にかかわらず朝鮮に残り、彼が絶対の支配者となり、彼等の 領地に対し好き勝手な事をする為であるといったことは明白に思われるからである。また、彼等が出航すればすぐに、関白殿はその領 地を自分の家臣に分けてしまい当下九ヶ国の絶対的な支配権を得て、自分の窓志で全てを処理しようとしている事は確実と思われてい る。 この下〔九州〕の国々に我々はキリスト教界の主勢力を持っており、会の全組織も今やことにあるので、もし彼が名護屋に来てこの侵 攻が実施に移されれば、まちがいなく会は全キリスト教界とともに崩域してしまうであろう。(この)実施に関して、主が彼の計画を 妨げて下さらなければ(実施に移されるのは)まちがいのない所だと広く考えられている。全てに関し、彼の持っている権力と支配力 は強大で、彼のその強大な権力・気力の故に、人々が彼に対して抱いている恐怖心・畏怖心は大変なものであり、どの領主もあえて、 〔朝鮮・中国〕渡る事はできないと言い出す最初の人間になろうとはしないからである。 また、多くの(領主)が一致して彼に反旗を翻す織な事も少なからざる困難をともなう事である。 というのは、(関白は)自らこの朝鮮・中国侵攻に関し、反対する者及び何がしかの困難を言い出す者は、追放し殺すという法令を公 布しているからである。 故に、あえて反対したり困難を申し出る者もなく、皆急いでこの侵攻の為に多数の船を建造し、戦争用の武器問料柑燥を準備してい る。関白も現在まで、名護屋に莫大な供給品・食糧を送って来たし、送りつづけている。 以上のここにも関わらず、この企ては全ての人々に悪くとられており、きかなる国に対してもこのような残酷で暴力をふるうことが起 こるとは思われない。というには、全ての人々が〔朝鮮に行く事は〕関白が〔彼等の出発後〕その領地を与えてしまうであろう者の手 中に、よるべない自分の妻子を残して死にに行く(ようなものである)と考えているのは疑いのないところで、日本に何らかの重大な 異変が生ずるに違いないと思わざるを得ない。私もまちがいなくそれが生ずるし、決してとの侵攻は実施されないと考えている。とい うのは、全ての人が死ぬ為に(朝鮮に)渡るといった事の他に、(この企ては)それ自体重大な困難を抱えているからである。この企 てによって全日本がいかに大きな心配・気苦労の中に置かれているかは説明できない程である。彼は毎日せかせ、より多くを求めてい る。 この様な訳で船が出航しなかった事が、理にかなっていないと考えられても、我々はそれが主の摂理であり命令であると思っている。 というのは、この侵攻が万一実施された時に、事態に備える為に、〔イエズス〕会はこの船以外の避難所を持てないからである。また もし実施されない時には、当然(国内に)重大な異変が生ずるに違いなく、生じうる大きな変革・変動の故に、私がローマに行く予定 だったイルマン達と日本に残留している事は神の摂理であろう。 会も、キリスト教界も、との神の御処置に喜んでおり、我々は大いに満足して、当キリスト教界を主が前進させてくださるのを期待し ている。」 |