聖フィリッポ教会

 この西坂に建つ「聖フィリッポ教会」の名は、「26聖人」の6人の外国人の1人、フェリペ・デ・ヘススからきています。
フェリペ(フィリッポ)はフィリピンで司祭になるための勉強を終え、祖国メキシコへの帰路の途中、日本の沖合で座礁した船に乗っていたために捕えられ、他の25人と共に長崎で殉教者となった人です。
 26人の殉教者たちが聖人に列せられて100年目の1962年、メキシコから寄せられた寄附をもとに、建築家・今井兼次氏の設計によって、彼を保護聖人とする「聖フィリッポ教会」が建てられました。
 なお、「日本二十六聖人記念聖堂」、また、地名に由来して「西坂教会」とも呼ばれます。

教会は、日中、毎日18:00まで、開いていますので、自由にお祈りしてください。

〇祈りと恵みの双塔
 「聖フィリッポ教会」は、スペイン人ガウディの「内なる生命」あふれる建築を日本に紹介した今井兼次氏の設計によって建てられました。陶片モザイクが嵌め込まれた躍動的な2本の塔が特徴的です。
 双塔は高さ16mあり、それぞれは「聖母マリア」と「聖霊」に奉献されています。
 むかって左の塔は、聖母の悲しみや苦しみ、着衣を表現した色の配置がなされ、「SANCTUS(聖なるかな)」の三連誦を人々の神への祈りとして刻み、避雷針には、聖母マリアを象徴する「王冠」と「12の星」が輝いています。
 右の塔は、聖霊を表わす「焔と鳩」が避雷針で輝き、塔頂は殉教者を表わす赤のモザイクで彩られ、「VENI SANCTUS SPIRITUS(聖霊来たりたまえ)」という祈りが刻まれています。
 今井氏は、聖霊の賜物(恵み)で殉教者の丘が満たされることを願って、教会堂の設計をなさっておられるようです。

○祭壇の「キリストを囲む26聖人」
 教会堂の中の祭壇の正面には、26の十字架のレリーフがあります。その中央にあるアルファ(Α)とオメガ(Ω)は、始めと終わり、すなわち「永遠の神」を示しています。26の十字架は、この「永遠の神」を礼拝し、賛美し、命を捧げた殉教者たちを表現しています。隣の26聖人記念館のエントランスには、今井兼次氏の同祭壇レリーフの石膏模型が展示されています。

〇歴史を証言する「聖遺骨」
 26聖人の中には、3人のイエズス会の日本人修道士がいます。聖パウロ三木、聖ヤコボ喜斉、聖ヨハネ五島です。聖パウロ三木は、復讐でなく赦すことを十字架上から話した人です。西坂で殉教した彼らの聖遺骨は、フィリピンで350年間保管され、この教会堂の完成にあわせて里帰りしました。
 3人の聖遺骨は、教会堂内の右側に設置された特別な容器の中に納められています。

〇建築家・今井兼次氏(1895~1987)
1895年、東京青山に生まれる。1919年、早稲田大学大学部理工科建築学科卒業。1926年、ヨーロッパに地下鉄と近代建築の研究視察を行い、アントニオ・ガウディの建築に出会う。1947年、マリア静子夫人の逝去に伴い、カトリックの洗礼を受ける。教育者、芸術家であった今井氏は、建築家として精神性の高い作品を多く生み出し、ガウディ研究のともに、ガウディの精神の内面を、日本二十六聖人記念館、聖フィリッポ教会などを通して紹介した。

 

※《車椅子ご利用の方へ》
  記念館内は、2階への車椅子での移動は困難です。
  教会堂も、1階フロアから2階の聖堂まで、車椅子での移動は難しいです。
  ご了承ください。誠に申し訳ありません。